見た目は正常・・・2

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認知症で出てくる妄想や幻覚はじつにさまざまです。

たとえば、現在自分の体に起こっている状態について、判断違いをして、昔の出来事と結びつけてしまい、結果的に妄想になってしまう人がいます。

その人は、普段から便秘がちでした。あるとき便秘がひどくなり、おなかが張って苦しくなるほどになりました。するとその人は「子供が生まれる、産婆さんを呼んでくれ」と言うのでした。根拠のない妄想ではありません。過去の出産の経験と現在の便秘の症状が結びついてしまって、判断を誤っているだけです。こういう判断の誤りは、認知症ではよくあることです。

これも否定しても何も役に立たないばかりか、本人を怒らせるだけになります。この人は家族が相手にしてくれず「こんな大変な時に何もしてくれないなんて、早く呼んでくれ!」とますます興奮してきたといいます。このような場合は、説得も説明もなんの解決にもなりません。うまく相槌をうちながら、まず本人が思っている陣痛について「それは大変、少し横になって産婆さんを待ちましょうか?」などと声掛けし、「産婆さんが来る前に用足ししておきましょう。」などとトイレに誘導してみるのも一つの方法ではないでしょうか。もしかして、便意を陣痛と思い違いをしていたとしたら、運よく便が出るかもしれません。出ないにしても、少し時間が経って「おなかの具合はどうですか?」と聞くと、便意も治まり「なんでもないよ。」とつらかったことを忘れている場合があります。

いずれにしても、便秘を直さない限りこの妄想は治まることはありません。その人の家族は、食事でなんとか便秘を解消できないかいろいろ工夫をしました。水分を多くしたり、食物繊維の多いものを食べさせたり、医師に相談して薬の調整もしてもらいました。

認知症では、その人の症状の原因を考えて対処法を見つけ出すことが重要です。