見た目は正常・・・1

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認知症の妄想や幻覚は、忘れてしまうことと現実の判断が出来なくなることから起こります

こんな人がいました。自分の運転免許証の書き換えを忘れて、認知症だろう言われたため、自分はそうではないと思いそれを証明するために物忘れ外来を受診しました。結果、やはり認知症だろうとの診断でした。自分は認知症ではないと思っているのに納得できないと診療を拒否してそのままにしてしまいました。

ところが、二人暮らしだった奥さんが先に亡くなってしまいます。この人を見てくれる人がそばにいなくなってしまったわけです。奥さんが亡くなった直後、奥さんのなきがらがドライアイスで冷やされているのを見つけ、ドライアイスを捨てて、そばに寝ていたというのです。奥さんがなくなったことを認められなかったわけです。告別式の様子からただ事ではないと感じたころで、奥さんの遺影を見せてなんとか納得させたとのことでした。まさかという私達には考えられないよう行動で家族は悩まされることになるのです。

車については、キーを処分してしまいましたが、それを忘れて毎日のように泥棒が入ったと警察に連絡し続けたようです。このころには、奥さんが亡くなったことは忘れていました。お金も同じだったようです。銀行に行って、お金をおろすことが出来なくなりました。なので、お金が底をつくと誰かが盗んだということになってはまた警察に電話です。そして、このころには車のことはすっかり忘れていました。

遠くに住んでいる甥にあたる方が毎日のようにその生活を支えていましたが、その甥の方が誰なのか分からなくなり、とうとうその甥の方が泥棒ということになってしまいました。

このように忘れることと、判断できなくなることが妄想の原因になるのです。