「新しいことほど忘れる」…5

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認知症では、たった今のことを忘れます。だから。なんども同じことをくり返すのです。認知症の人とうまくやっていくためには、まわりの人たちはそれにうまく付き合うしかありません。その場で文句を言うことは絶対にやってはいけないことです。特に初期においては、ご本人も口には出さないまでも健康な時とは違う状態にあることに気づいています。何か自分の中でおかしなことが起こっているという不安でいっぱいですが、認めたくない気持ちもあって、周囲からの指摘や叱責に対して過剰に反応しがちです。

同じことを何度も言ったり、何度も探しまわったり、初めの数回なら付き合えても、何度も何度も重なると周囲の人もうんざりしてきますよね。わかっていてもつい叱ったり、嫌な顔をしてしまいがちです。そして熱心さのあまり、何とかして記憶を取り戻させようとして、訓練のようなことを始めたくなります。しかし、出来ない体験がたくさん積み重なると、ご本人は自信を失いますし、辛い思いばかりが後に残ります。ご本人の望まない訓練はおすすめできません。

初期のころなら、メモを利用するなどで、かなり物忘れを補うことができます。大事なことは紙に書いていつも決まった場所に貼っておくとか、目の付きやすいところに置いておくのもいいでしょう。また、規則正しい生活パターンを初期のうちから作っておくと、混乱が減り、たとえ物忘れがあっても生活の支障になりにくいようです。朝は7時に起きて顔を洗い、朝ご飯は7時30分に食べ、食後はトイレに行き…というように、ある程度時間割に沿った生活を送りましょう。身についた習慣は案外忘れないものです。

何度も同じことを言いうということは、前に答えてもらった内容も忘れているということです。毎回違った答え方をしようと考え込んでしまっては、相手をする人は疲れますよね。まじめに聞いたうえでなら、何度でも同じ答えでかまいません。いい加減な返事にはとても敏感です、しっかりと顔を見て答えてくださいね。

さっきのことをすぐ忘れるのに、昔のことはよく覚えています。認知症の人は現実の世界と昔の世界を行ったり来たりして、ごちゃまぜになることがあります。目の前にいるだれかを、昔の記憶の中にいるだれかと思い違いをすることもありあす。そう思い込まれてしまった人は、その人になりきって演技をするしかありません。

でも、これも大変です。また、こだわりが強く以前の自分のやり方や思いにこだわるあまり、周囲の人の意見を聞けなくなり、否定されたと思い込み暴言・暴行を招くこともあります。その場合も、それに合わせるしかありません。本当に大変です。だから息抜きが必要なのです。ぜひ息抜きを考えてください。