なぜ認知症になると日常生活がひとりでは営めなくなるのか

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「認知症は他人事ではない」

認知症は記憶障害から始まり、しだいにものごとの判断ができなくなり、社会生活が営めなくなったり、ひとりでの生活に支障がでたり、最終的には脳の機能すべてが障害されてしまう病気です。この代表的な病気がアルツハイマー型認知症ですが、他にも脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症など、認知症を主症状とする脳の病気はたくさんあります。では、なぜ認知症になると日常生活がひとりでは営めなくなるのでしょうか。

認知機能とは、ものごとを正しく理解して適切に実行するための機能です。人と人の交流に必要なコミュニケーション能力であり、人が生活するうえで必要な能力でもあります。この能力が冒されると、自分の考えや意思を他者に伝えることや、困ったときの適切な解決方法、ものごとの善し悪しの分別など、以前は問題なくできていたことができなくなります。

また、文字を読んだり書いたり、自由にしゃべったり、人間が持つ高度な能力も冒され、これらの行為もできなくなります。認知機能とは、知能とほぼ同じ能力で、この能力がなくなってしまうため、社会での混乱や生活上の混乱を招き、ケアなしでは生活できなくなるのです。

現在65歳以上の高齢者約300万人のうち、認知症患者が430万人、認知症予備群の軽度認知機能障害の人が400万人で、この両者を合わせた数は、830万人ですから、65歳以上の高齢者の27%、つまり4人にひとりが認知症あるいはその予備軍ということになります。

つまり、だれでも認知症になると考えておかなければならないということです。以前、認知症の人の徘徊が社会問題となったことがあります。路線に入り込んではねられて死んだあげく、電車の遅れが出たためにその賠償金まで支払えという判決が下されて、最高裁に持ち込まれた例があります。「認知症の人も社会全体で支えていきましょう」という考え方とはとうていかけ離れた判決です。

認知症の人はいったん外に出てしまうと、家にもどる道がわからなくなっていますから、あてどなく歩くしかなくなってしまいます。そして行方不明になり、何年もの間家族と別れたまま施設で身元不明人として入所を続けている人のニュースも話題になりました。

現在、年に1万人もの認知症の人が行方不明になっているといわれています。家族が認知症の人を24時間見守り続けるというのは不可能です。これから、認知症の人を支えるためには認知症の正しい理解が必要です。認知症の人と家族への応援者である認知症サポーターを全国で多数養成しています。認知症を理解する入り口として、認知症サポーター養成講座を受けてみませんか。