認知症
認知症の人が介護者を困らせる言動の原因には、忘れることと判断できなくなることがあります。その一つに車の運転があります。
父親の車に最近どこかでこすってきたような傷があり、一緒に乗っていてもヒヤッとする場面が多くなったと相談に来ました。ご本人は、昔の職人さんで棟梁をしていて、今は息子さんに譲ったという事です。お話を聞くと「オレは何でもないと思っているのに、娘らが頭が悪くなったと言ってるようだ。しょうがなく来たんだ。」と言います。「オレは大丈夫だと言ってんのに娘らが、危ないから乗るなってうるさいんだよ。」いいます。長谷川式認知症スケールで21点（20点以下認知症疑い、21点以上正常）とぎりぎりの点数で、初対面では全く分かりませんでした。
一方、娘さんの話によると、蛇行運転したり、ブレーキを踏むタイミングが遅かったり、生きた心地がしないと言います。運転に付き添うと言うと「ガキじゃあるまいし、うるさい！と怒り出すので、一人で運転させているけど、自爆ならあきらめられるけど、人をケガさせたらと思うと、心配でたまりません。車以外のことは今のところ問題ないのですが、車の運転が一番心配です。」毎日のように車を乗りだすたびに父親とのバトルに疲れ果てていました。