Q:生まれてくる赤ちゃんの歯を丈夫にするにはどんな注意が必要ですか?
A:赤ちゃんの丈夫な歯と母体の栄養摂取は密接に関係しています。胎生7~10週で乳歯の歯胚形成が開始され、4~6ヵ月には乳歯の歯胚にカルシウムやリンが沈着して石灰化が始まります。同じころ、永久歯の歯胚形成も始まります。
このようなときに丈夫な歯の形成、発育に必要な栄養素は、歯の硬い歯質を作るカルシウムとリンですが、その土台を作るタンパク質も重要です。タンパク質が不足すると、エナメル質が弱くなります。カルシウムとリンは歯の硬組織の主成分ですが、それぞれの量が十分であっても、その比率が適正でなければ石灰化はうまく進行しません。加工食品などで、リンの摂取が多くならないようにしたり、カルシウムを補うようにして、歯の形成障害(石灰化不全)をおこさないようにしましょう。この障害をおこすと、その部分に食べカスが貯まって、虫歯になりやすいからです。その他、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンDも丈夫な歯をつくるために必要な栄養素です。
妊娠期には、できるだけバランスのよい食事で、良質なタンパク質とビタミン類をしっかりと摂取したうえで、カルシウムを十分に摂ることが望まれます。また、妊娠全期間を通じて、母体から胎児に約30~35gのカルシウムが移行するといわれています。そのため妊娠期間中は、他の時期に比べてより多くのカルシウム摂取が必要となります。
カルシウムはタンパク質やビタミンDと一緒に取ると、吸収が良いと言われているので、主菜で肉や魚、副菜で野菜や海藻類を摂り、バランスの良い食事にしてさまざまな栄養素を摂れるようにするといいでしょう。もし乳製品や小魚が苦手な場合は、ひじきや小松菜、切り干し大根などもカルシウムが吸収しやすい形で含まれているので、上手に利用しましょう。カルシウムを豊富に含んだ食べ物だけを単品で食べ続けると飽きやすいので、サラダやスープに入れるなど、さまざまな形で料理に取り入れていくといいですね。