糖尿病は国民病
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(平成24年)によると、糖尿病が強く疑われる人(糖尿病有病者)は約950万人、糖尿病の可能性を否定できない人(糖尿病予備群)は約1100万人と推計されています。有病率を見ると60歳以上でその割合が15%を超え、日本人にとって糖尿病は「国民病」とも言えます。
糖尿病の原因
食事をとると血糖が増え、血糖値が上昇しますが、通常は膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンが、ブドウ糖の量を適切にコントロールしています。ところが、インスリンの分泌や働きに異常があると、血糖値が高くなる「高血糖」の状態が慢性的に続く、これが糖尿病です。日本人に多いのは、遺伝的要因や、食べすぎ、運動不足、肥満などの悪い生活習慣の積み重ねが原因で発症する糖尿病で、糖尿病患者の9割以上占めています。血糖値が高い状態が慢性的に続くと、全身の血管が弾力を失い、もろくなり、合併症を引き起こすことになります。
糖尿病の症状
糖尿病の初期には、自覚症状がほとんどありません。「トイレが近い(尿の量が増える)」「体重が減る」「喉が渇く」「体がだるい・疲れやすい」「手足がしびれる」「発疹がないのに体がかゆい」などの自覚症状が現れる頃には、すでに血糖値が高い状態が長く続いていて、糖尿病が進行している場合が多くあります。
糖尿病の合併症とは?
糖尿病の恐ろしさは。全身の血管がもろくなることによって生じる合併症にあります。細い血管がダメージを受けて起こる代表的な合併症が、「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」「糖尿病神経障害」の糖尿病の三大合併症と言われるものです。糖尿病性網膜症では、視力が低下して失明に至る場合があります。糖尿病性腎症では、腎機能が低下して老廃物を排出できなくなるため、透析治療が必要になります。糖尿病性神経障害」では、足先や足裏の間隔が麻痺します。小さな傷ができても気づかず悪化して潰瘍や壊疽になり、足の切断をせざるを得ない事態に陥ることがあります。また、太い血管のダメージは、動脈硬化が進むため、脳梗塞や心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症などの命に関わる病気を引き起こす危険があります。